ファクタリングはすべての業種で利用可能です。
しかし業種によっては回収手段が現金だったり、債権が発生しなかったり、ファクタリングが利用しにくい場合があります。
そこで今回は、ファクタリングが向いている業種とあまり向いていない業種を具体的に紹介します。
ファクタリングが向いている業種
以下のケースに当てはまる場合、資金調達方法としてファクタリングをおすすめできます。
ファクタリングが向いているケース
- 売掛金の入金までが長い
- 売掛先の信用度が高い
- 高額な運転資金が必要
具体的には、運送業・建設業・医療業界・アパレル業・IT業界が挙げられます。
業種ごとの特徴を見ていきましょう。
運送業
運送業は売掛金が実際に入金されるまで2ヶ月程度かかります。
その間も人件費や燃費は必要ですし、車両の故障などで急な出費が発生することもあります。
たとえ経営が安定していても燃料費の高騰でダメージを受け、赤字経営になるリスクも高いのが特徴です。
資金不足に陥った際でもファクタリングを利用すれば、売掛金を最短即日に現金へと変えられます。
運転資金を素早く調達できるので、経営の安定につながります。
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建設業
建設業は、売掛金が入金されるのは工事完了後というケースが多く、キャッシュフローの管理が重要。
特にビル建設など大型の案件では先払い経費が大きく、利益が出てもキャッシュフローが破綻することがあります。
さらに建設工事は天候や作業トラブルで工事が予定より遅れてしまう場合もあり、経営が安定しにくい業種です。
ファクタリングを利用すると、請けた工事の売掛債権を先に現金化できます。
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医療業界
医療・介護業界では、国民健康保険団体連合会や社会保険診療報基金に対し「診療報酬」を請求するのですが、実際に入金されるまで2〜3ヶ月かかってしまいます。
さらに医薬品や医療機器を追加するには高額な資金が必要で、経営状態が悪化しがちです。
そこで診療報酬債権をファクタリング会社に売却し、前倒しで現金を受け取る方法が人気です。
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アパレル業界
アパレル業界は季節ごとに流行りそうな服を調達します。
発注は約1年前のため、トレンド・デザインを予測するのが難しく、大量の在庫を抱えるリスクがあります。
また、外出自粛などで洋服を買わなくなった人も多く、売上低迷に悩む店舗も増えました。
資金が不足すれば次の仕入れ量にも影響し、十分な利益を確保できず、悪循環に陥ってしまいます。
ビジネスチャンスを逃さないためにも、急な資金繰りに対応できるファクタリングは有効な手段と言えるでしょう。
IT業界
IT業は開発やシステム構築などのプロジェクトに取り組む案件が多く、納品までには一定の期間が必要です。
サービス開始が延期されれば請求書の支払いも遅れますが、開発に必要な経費や人件費は先払いです。
開発の途中で資金が尽きてしまった、というケースも考えられます。
また、IT業界は急速に変化する市場であり、新たな技術やサービスに追いつくためには常に投資が必要です。
こうした状況でファクタリングを活用すると、報酬を早期に受け取り、経費や人件費・投資費用を賄えるでしょう。
ファクタリングが不向きな業種
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に売却する手法なので、売掛債権があればどんな業種でも利用できます。
逆に言えば、売掛債権がない場合は利用できません。
具体的には、現金払いを主としている飲食業や小売業はファクタリングに向いていないと言えます。
詳しく見ていきましょう。
飲食業
キャッシュレス決済が一般的になってきましたが、飲食業は「現金払いのみ」という店舗も珍しくありません。
現金払いでは売掛債権が発生しないため、債権を売却するファクタリングは使えません。
なお、バーやスナックでよくある「ツケ払い」は債権の一種ですが、相手は個人のため信用度が低く、ファクタリング会社は買い取ってくれません。
ファクタリングは売掛債権(主に請求書)を売り買いするため、請求書の数が少ない場合、または相手が個人の場合は適していないのです。
小売業
スーパーやコンビニエンスストアなど小売業は、家庭用・個人用として一般の消費者を相手に販売します。
基本的に現金取引となり、商品を販売すると同時に代金を受け取るため「回収サイト」は発生しません。
たとえクレジットカードなど他の取引方法で回収サイトが長引いたとしても、現金が日々入ってくるため資金繰りは比較的楽でしょう。
資金調達方法としてファクタリングも選べますが、ファクタリングは売掛債権を売却して現金化する代わりに手数料が差し引かれます。
毎日現金が回収できる小売業が、あえてファクタリングを選ぶメリットは低いと言えるでしょう。
まとめ
今回は、ファクタリングが向いている業種とあまり向いていない業種を紹介しました。
ファクタリングは、売掛金の入金まで時間がかかる運送業や建設業などに適しています。
売掛債権を売却する手法のため、そもそも売掛債権が発生しない=現金取引がメインとなる飲食業・小売業は利用できない可能性が高いです。
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