資金調達のひとつとして「制度融資」という言葉を見つけたが、いまいち意味が分からない…という方へ。
制度融資は自治体・金融機関・信用保証協会が連携することで中小企業・個人事業主でもお金を借りやすくしている制度です。
銀行融資やノンバンク融資よりも金利が低く、経営改善のサポートも受けられることもあるので、ぜひおすすめします。
そこで今回は制度融資について、仕組みや種類・活用方法を分かりやすく解説します。
制度融資とは
「制度融資」とは、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して、中小企業でも受けやすくなっている融資です。
都道府県や市区町村など各自治体が独自に設けているため、自治体によって利用条件や対象者が異なります。
例えば東京都千代田区では「千代田区商工融資あっせん制度」という名称で、設備資金として最大2,000万円の融資を受けられます。
制度融資の仕組み
制度融資は自治体・金融機関・信用保証協会が連携して融資を行っています。
それぞれの役目を知ることが、制度融資の仕組みを知ることにつながります。
自治体は利子を負担してくれる
中小企業が資金調達しようと、低金利の銀行融資では審査が通らず、高金利の消費者金融を検討せざるを得ないケースがあります。
一方、制度融資では通常1.0%〜3.0%ととても低い金利で借りられます。
その理由は自治体が利子補給してくれるから、つまり利子相当額を助成してくれるからです。
そのため経営者が負担する金利が低くなり、返済のハードルが低くなっています。
金融機関は融資を実行する
制度融資では基本的に金融機関が窓口となり、自治体の預託金を使って融資をします。
融資を実行するかどうかの判断は自治体が行いますが、実際にお金を出すのは金融機関ということです。
信用保証協会は保証人となる
通常、融資の審査では保証人や担保を求められます。
しかし保証人や担保をつけると本人が返済できなくなった場合、家族や周りの人に大きな影響を与えてしまうので、ためらってしまいますよね。
信用保証協会は保証人の代わりとなり、融資を受けやすくなるようサポートする機関です。
制度融資の種類
制度融資は2種類に分けられます。
提供しているのが「都道府県なのか、市区町村なのか」で若干内容が変わってきます。
目的・状況によって向いている制度融資が変わってくるので、それぞれの特徴を確認しましょう。
都道府県による制度融資
都道府県による制度融資の場合、窓口は最寄りの金融機関(銀行や信用金庫・引用組合)です。
信用保証協会への申し込みも金融機関を通じて行うため、比較的スムーズに融資がスタートします。
融資限度額が高額で、大規模な設備投資にも向いています。
市区町村による制度融資
市区町村による制度融資の場合、窓口は市区町村の役所です。
区役所などで相談して、中小企業診断士と面談したあと、金融機関へ書類を提出します。
手続きのステップが少し多いので、実際に融資を受けるまで時間がかかることも。
融資限度額は都道府県と比較すると多くありませんが、利率や補助の面で有利に設定しているケースが多いようです。
制度融資の活用方法
制度融資はどんなときに申し込むと良いのでしょうか。
ここでは制度融資を活用したい3つのケースを紹介します。
なるべく低金利で融資を受けたい
金利が違うと利息に差が出るので、できれば少しでも金利が低い融資を利用したいですよね。
銀行融資の金利が2%〜9%、ノンバンクは4%〜18%と考えると、制度融資の金利1.0%〜3.0%はかなり低いです。
月々の負担をできるだけ減らしたいと思うなら制度融資がおすすめです。
経営のサポートも受けたい
資金調達しても、そもそも経営基盤が安定していなければ、いずれまた資金不足に陥ってしまいます。
制度融資では、融資と並行して経営改善を図る「経営支援」「伴走支援」といった枠を用意している場合もあります。
金融機関や専門家の支援を受けながら、経営改善を進めたいという方にぴったりです。
新しい事業を始めたい
新しい事業を始めたい人や店舗を開業したい人は、これまでの経営実績がなく、一般的な融資では断られてしまいます。
しかし制度融資は新規開業にもやさしく、柔軟な審査が期待できます。
例えば東京都中小企業制度融資『創業』では、以下のいずれかに当てはまる場合は対象となります。
現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有している
創業した日から5年未満である中小企業者等
分社化しようとする会社又は分社化により設立された日から5年未満の会社
新事業に投資したくても、銀行では融資を受けられない…というケースではとても助かるでしょう。
まとめ
今回は制度融資について、仕組みや種類・活用方法を紹介しました。
制度融資は自治体・金融機関・信用保証協会が連携しているため、中小企業や個人事業主も比較的借りやすくなっています。
具体的な条件や融資限度額は自治体によって異なりますので、事業を営んでいる自治体もしくは事業を始める予定の自治体のホームページを確認しましょう。