資金繰りが厳しい中小企業経営者にとって、法人破産は選択肢のひとつです。
法人破産手続きを行うと借入金を含む債務は消滅するため、資金調達や取り立てに悩む必要がなくなります。
しかし会社自体もなくなってしまうので、会社の財産や従業員は手放す必要があります。
今回は法人破産の手続きやメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
未来に向けた最善の選択をするために、法人破産の全体像を把握しましょう。
法人破産とは
「法人破産（会社破産）」とは、支払い不能や債務超過に陥った場合に、裁判所が破産管財人を選任して法人の財産を処分し、債権者に配当することで会社を清算する手続きです。
会社に財産が残っている場合には換価して債権者に平等に配当し、法人格を消滅させます。
個人の破産と異なり、法人の破産には免責がなく、会社の消滅によって債務も消滅します。
つまり借入金を返済しきれない場合でも、債権者に対して全額支払う必要はありません。
経営者にとっては救済措置とも言えますが、法人破産による影響はさまざまな部分に及び、債権者との信頼関係が壊れるなどのデメリットも考えられます。
手続きの流れ
法人破産の手続きは以下のように進みます。
法人破産の流れ
- 破産手続開始の申立て
- 債務者審尋
- 破産管財人の選任
- 債権者集会、配当
- 破産手続の終了
破産手続きは複雑なため、破産を検討している段階で弁護士へ相談することをおすすめします。
また、弁護士から債権者に対して受任通知が送られると、その時点で直接的な取り立て行為がストップします。
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法人破産のメリット
法人破産手続きを行うと、会社が消滅するとともに債務も消滅します。
つまり資金繰りに悩む必要もなくなり、新しい生活を始めやすいと言えます。
法人破産のメリット
- 取り立てがなくなる
- 借入金を返済しなくてよい
- 再スタートできる
詳しく見ていきましょう。
取り立てがなくなる
法人破産を検討している企業は債務の返済が難しい状況でしょう。
債権者から取り立ての電話・書面があり、苦しい思いをしているかもしれません。
法人破産の大きなメリットとして、取り立てがなくなることが挙げられます。
弁護士に依頼した時点で、受任通知が債権者に発送されます。
その後のやりとりや交渉はすべて弁護士が行うため、債権者からの直接的な取り立てに対するプレッシャーから解放されます。
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借入金を返済しなくてよい
会社によっては数千万円の債務を抱えていて、すべての資産を売却しても債務を返済しきれないケースもあります。
債務超過・借入過多の状態では「どこから資金調達すればいいのか」「従業員に給料を支払えるのか」などを考えて、夜も眠れないかもしれません。
しかし法人破産手続きでは会社の債務が消滅するため、どれだけ多額の借入金があっても返済する必要はありません。
経営者が連帯保証人になっている場合でも、経営者自身も破産手続きで免責を受ければ支払い義務がなくなります。
再スタートできる
法人破産によって会社は消滅してしまいますが、代表者は会社の借金や問題から解放され再スタートできます。
新しい事業を立ち上げたり、別の会社に就職したりするのもよいでしょう。
※破産すると就業できない職業もあります。
これまでの失敗や課題から学んだ経験を生かし、新しい生活を築いていきましょう。
法人破産のデメリット
法人破産は会社の消滅を伴うので、会社の財産は手放すことになり、従業員も解雇しなければいけません。
法人破産のデメリット
- 会社の財産を失う
- 従業員は全員解雇
有形無形の資産が無くなるため、現在の会社を再建させたい場合は別の方法を考えたほうが良いです。
自社の状況で法人破産手続きがベストなのか、メリット・デメリットを踏まえた上で判断してください。
早めに弁護士など専門家に相談しておくと、後悔せずに済むでしょう。
会社の財産を失う
法人破産では、会社が所有していた財産を負債の返済に充てます。
没収される財産
- 不動産（土地、建物）
- 現金
- 預貯金
- 車
- 絵画
思い入れの強いものもすべて手放すことになるので、経営者としては寂しい思いをするでしょう。
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従業員は全員解雇
法人破産は最終的に事業停止・会社消滅となるため、従業員についても全員解雇をしなければなりません。
長年共に働いてきた従業員たちにとって突然の解雇は辛いものであり、経営者にとっても心苦しいでしょう。
法人破産は借入金を返済しなくてよくなりますが、債権者だけでなく従業員にも迷惑をかけてしまうことを頭に入れておきましょう。
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まとめ
今回は法人破産の手続きやメリット・デメリットについて解説しました。
多額の債務も会社とともに消滅するため、資金繰りや取り立てに悩まなくてよくなります。
新しい事業を始める場合でも、別の会社へ就職する場合でも、再スタートが成功しやすいでしょう。
しかし一方で、これまで大切にしてきた不動産や従業員とは離れることになります。