【法人の債務整理】5つの方法それぞれのメリット・デメリットを解説

【法人の債務整理】5つの方法それぞれのメリット・デメリットを解説

会社の債務整理には5つの方法があります。

会社の債務整理

  • 破産
  • 特別清算
  • 民事再生
  • 会社更生
  • 私的整理(任意整理)

「どのように違うのか」「どれを選べばいいのか」と悩んでしまいますよね。

この記事では法人の債務整理それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。

会社の再建や借金問題の解決を目指すため、自社にとってベストな方法を考えてみてください。

破産

破産は会社の財産を現金化し、債務者に分配する手続きです。

債務は消滅しますが、会社自体も消滅します。

会社が債務の返済を行う能力を失い、債務が履行できなくなった場合(債務超過)によく選ばれる方法です。

以下は破産のメリットとデメリットです。

破産のメリット

破産は債務を支払う義務がなくなるため、資金繰りや取り立てに悩まなくてよくなります。

新しく事業を始めたい場合でも、精神的・金銭的に楽でしょう。

破産のメリット

  • 借入金など借金から解放される
  • 弁護士が債権者へ受任通知を発送すると、取り立てがストップする
  • 借金がなくなるため新しい人生を始めやすい

破産のデメリット

破産は多額の債務をなくすことができますが、会社の解散が求められます。

会社が保有している建物・土地はもちろん、従業員・ノウハウ・ブランドイメージなども失ってしまいます。

破産のデメリット

  • 会社の財産はすべてお金に変わってしまう
  • 代表者が連帯保証している場合、代表者も債務整理を行う必要がある
  • 会社が消滅するため、従業員を解雇することになる
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特別清算

特別清算は、債務超過に陥った場合に債権者の許可を得て清算する手続きです。

特別清算には「協定型」と「和解型」の2種類があります。

協定型では債権者の過半数の同意と、債権者の議決権総額の3分の2以上の同意が必要です。

和解型では債権者と個別に和解を締結するため、より柔軟かつスピーディーに進められます。

特別清算のメリットとデメリットをみていきましょう。

特別清算のメリット

特別清算と破産は、どちらも会社が消滅する清算型の手続きです。

しかし破産よりも特別清算のほうが比較的シンプルなので、時間や費用をカットしたい経営者に向いています。

特別清算のメリット

  • 破産に比べて時間がかからない
  • 清算人を選べる(経営者や懇意にしている弁護士が担当可能)
  • 費用が少なくて済む

特別清算のデメリット

特別清算では債権者の同意が必要なため、相手が納得してくれなければ手続きが進みません。

特に協定型では債権者の過半数の同意と、債権者の議決権総額の3分の2以上の同意を集めなければいけません。

研究員:柳沢
思った以上に話が進まず、結果的に破産を選ぶことになる可能性もあります。

特別清算のデメリット

  • 利用できるのは株式会社のみ
  • 債権者の同意を得なければいけない
  • 連帯保証をしている社長は債務整理が必要
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民事再生

民事再生は、民事再生法に基づく裁判手続きです。

会社更生と似ているように思えますが、対象が異なります。

会社更生は株式会社のみ、民事再生は個人から大企業まで利用可能です。

民事再生のメリット

民事再生では経営陣・従業員はそのままの状態で、経営改善を目指します。

民事再生のメリット

  • 債権の返済を一部免除・支払い期限の延長が可能
  • 経営陣は交代しなくてよい
  • 事業を継続できるので、従業員の雇用を継続できる

民事再生のデメリット

民事再生には魅力的なメリットがありますが、コストがかかってしまう可能性も忘れないようにしましょう。

民事再生のデメリット

  • 予納金などの費用が高い
  • 担保権を実行される可能性がある
  • 税務が複雑になり、税理士への依頼が必要
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会社更生

会社更生は、会社の事業再建を図るために会社更生法に基づいて行われる裁判手続きです。

更生管財人の下で更生計画を策定し、債務を減らしてもらうことで、会社を立て直します。

会社更生のメリット

経営者としては、これまで築いてきた会社を消滅させたくないですよね。

会社更生では会社を残しつつ債務の減額を実現できます。

顧客・取引先との関係性も失わず、従業員を解雇する必要もありません。

会社更生のメリット

  • 会社自体は残る
  • 債務の大幅な減額が期待できる
  • 従業員の雇用を確保できる

会社更生のデメリット

会社更生では会社を残せますが、自身は経営から離れなければいけません。

費用や条件などを考慮して慎重に判断する必要があります。

会社更生のデメリット

  • 費用が高額になる場合がある
  • 経営陣の退任が必要
  • 株式会社のみに適用される
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私的整理(任意整理)

私的整理(任意整理)は、債権者と債務者が協議を行い、返済方法や返済金額について決め直す手続きです。

裁判所を通さないため、費用や時間を削減できる可能性が高いです。

ただし、合意に至らない場合は余計こじれるリスクも抱えていますし、他の手続きへの切り替えを検討しなければいけないケースもあります。

私的整理のメリット・デメリットをみていきましょう。

私的整理(任意整理)のメリット

私的整理は債権者側と話し合うことで債務を減らすため、柔軟かつ迅速に問題解決できます。

私的整理のメリット

  • 費用が比較的安く抑えられる
  • 債務減免や支払い条件の見直しなど柔軟な解決方法を見つけられる
  • 債権者の合意が得られれば手続きが素早く終了する

私的整理(任意整理)のデメリット

私的整理は裁判所を通さないため手続きが不透明であり、そのせいで債権者側が同意を渋る可能性があります。

相手が納得しない場合、担保権を行使するかもしれません。

研究員:柳沢
会社の財産・経営者の財産が差し押さえられるリスクを考慮し、慎重に判断しましょう。

私的整理のデメリット

  • 公平性・透明性が確保できない
  • 債権者の合意が得られない場合、他の債務整理方法を選択する必要がある
  • 債権者が担保権を行使するリスクあり
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法人・会社の私的整理とは?手続きの流れやメリット・デメリットを解説

まとめ

中小企業経営者の皆様へ、債務整理についてのメリット・デメリットを紹介しました。

経営困難からの脱却や借金問題の解決は大きな課題ですが、適切な債務整理手続きを選ぶことで道が開けます。

研究員:柳沢
専門家の助言を受けながら、自社に最適な選択肢を検討してください。