ファクタリングを利用した時、仕訳や勘定科目はどうやるの?分かりやすく解説

ファクタリングを利用した時、仕訳や勘定科目はどうやるの?分かりやすく解説

ファクタリングは売掛債権を素早く現金化する手法です。

お金が動く以上、仕訳や勘定科目を正しく理解しなければいけません。

そこで今回はファクタリングを利用した際の会計処理について、具体例を用いて分かりやすく解説していきます。

ファクタリングの種類

ファクタリングには「買取型ファクタリング」と「保証型ファクタリング」の2つの種類があります。

まずはどちらを利用したのかを確認しましょう。

買取型ファクタリング

買取型ファクタリングは、ファクタリング会社が売掛債権を買い取るタイプです。

売掛債権は通常、支払い期日が1〜3ヶ月と先になっており、その間に資金が必要でも回収できません。

買取型ファクタリングなら債権から手数料を差し引いた代金をすぐに受け取れるため、資金繰りの改善に役立ちます。

研究員:柳沢
ファクタリングといえば一般的に買取型ファクタリングを指します。

保証型ファクタリング

保証型ファクタリングは、ファクタリング会社が売掛債権の回収を保証するタイプです。

売掛債権に保険をかけるようなイメージで、取引先の貸し倒れリスクを避けるためのサービスです。

つまり、取引先が倒産したなどの理由で回収できない場合でもファクタリング会社が代わりに代金を支払ってくれます(保証金)。

ただし、ファクタリング会社が「売掛金を回収できない」と判断するまで保証金は支払われません。

研究員:柳沢
保証型ファクタリングは資金調達を急ぐ場合にはあまり向いていないと言えるでしょう。
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買取型ファクタリングの会計処理

買取型ファクタリングでも「契約日と入金日が同じ場合」と「契約日と入金日が異なる場合」によって会計処理方法が異なります。

詳しく見ていきましょう。

契約日と入金日が同じ場合

2社間ファクタリングではファクタリング契約日と入金日が同日になるケースが多いでしょう。

まず、通常の仕訳と同じように売掛先との取引を処理します。

売掛金100万円に対して手数料5%の場合、以下のようになります。

借方貸方
売掛金 100万円売上 100万円

次に入金された金額と手数料を処理します。

手数料は「売上債権売却損」の勘定項目を選びます。

借方貸方
現金預金 95万円売掛金 100万円
売上債権売却損 5万

売掛金支払い日となり、取引先から入金があったら「預り金」として処理します。

借方貸方
現金預金 100万円預り金 100万円

ファクタリング会社へ売掛金を支払い(相殺)、以下のように処理します。

借方貸方
預り金 100万円現金預金 100万円

契約日と入金日が異なる場合

3社間ファクタリングではファクタリング契約日と入金日が異なるケースがほとんどです。

まず、ファクタリング会社から入金があるまで「未収入金」として処理します。

売掛金100万円に対して手数料5%の場合、以下のようになります。

借方貸方
未収入金 100万円売掛金 100万円

ファクタリング会社から入金されたら、手数料を「売上債権売却損」として計上します。

借方貸方
現金預金 95万円未収入金 100万円
売上債権売却損 5万

保証型ファクタリングの会計処理

保証型ファクタリングを利用した場合、2つのケースが考えられます。

保証型ファクタリングを利用した結果

  • 無事に売掛金が支払われた
  • 売掛金が回収できなかった(保険金を受け取った)

それぞれ見ていきましょう。

無事に売掛金が支払われた場合

無事に売掛金100万円を回収できて、ファクタリング会社に保証金を5万円支払った場合を説明していきます。

まずは売掛金発生の仕訳を行います。

借方貸方
売掛金 100万円売上 100万円

売掛金が入金されたことを処理します。

借方貸方
普通預金 100万円売掛金 100万円

ファクタリング会社との契約内容によって仕訳のタイミングは異なりますが、例として取引先からの入金時とします。

ファクタリング会社に保証金(手数料)として5万円を支払っている場合、以下の仕訳が必要です。

借方貸方
支払い手数料 5万円現金預金 5万円

売掛金が回収できなかった場合

保証型ファクタリングを利用して、売掛債権100万円が回収できず、保証として100万円を受け取ったとします。

まずは売掛金発生の仕訳を行います。

借方貸方
売掛金 100万円売上 100万円

売掛債権が回収できない(貸し倒れ)と分かった時点で処理します。

借方貸方
貸倒損失 100万円売掛債権 100万円

ファクタリング会社に保証としてお金を受け取った場合、「雑収入」の勘定科目で仕訳します。

借方貸方
現金預金 100万円雑収入 100万円

まとめ

今回の記事では具体例を交えながらファクタリングにおける会計処理の方法を解説しました。

ファクタリングを初めて利用した会社にとって「仕訳や勘定科目を正しく選ぶのは難しい」と感じるかもしれませんが、この記事を参考に処理してみてください。

ただし、今回紹介したケースはあくまで例なので、会計処理がより複雑になるケースもあります。

研究員:柳沢
分からない場合は税務署や商工会議所に相談して、正しい処理方法を教えてもらいましょう。
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