「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」は、日本政策金融公庫が提供する制度です。
この制度は、商工会議所などで6か月以上の経営指導を受けた方を対象に、最大2000万円の無担保・無保証人の融資を行います。
返済期間は7〜10年と長めで、さらに、金利1.18%という点も魅力的です。
一時的な業績悪化でも審査を通過できる場合があるため、経営者にとっては非常に心強い制度と言えるでしょう。
今回はマル経融資の特徴を分かりやすく説明していくので、ぜひ検討してみてください。
参考:マル経融資(小規模事業者経営改善資金)|日本政策金融公庫
特徴1.返済期間が7年〜10年と長く、負担が軽い
マル経融資の返済期間は、運転資金は7年以内(据置期間1年以内)、設備資金は10年以内(据置期間2年以内)と長めに設定されています。
用途の例
- 運転資金:仕入れ代金、給与の支払い・家賃など
- 設備資金:店舗の内装工事・備品購入・Webサイト製作費など
マル経融資は他の融資に比べて長期間にわたって返済できるため、返済額が分散され、経営負担が軽減されます。
さらに、将来の事業計画を立てる上でのリスク管理もしやすくなるでしょう。
特徴2.最大2,000万円まで無担保・無保証で借りられる
一般的なビジネスローンは500万〜1,000万円までの借入となり、大規模な事業拡大や経営改善には向いていません。
しかしマル経融資の限度額は最高2,000万円、さらに担保や保証人も必要ありません。
担保や保証人を用意しなくてよいため資金調達までの時間や手続きが短縮され、事業計画の実現に向けてスピーディーに対応できます。
特徴3.1.18%と低金利で、返済計画が立てやすい
融資を受ける上で気になるのが金利ですよね。
通常、金融機関のビジネスローンの金利は10%〜14%程度で、ノンバンクだと18%というところもあります。
金利が高ければ合計返済金額が多くなり、月々の返済の負担も重くなってしまいます。
一方でマル経融資の金利は1.18%(2023年2月時点)と低金利です。
返済期間が7~10年と長期間にわたるため、月々の返済額を低く抑えられます。
特徴4.商工会・商工会議所の経営指導を受けることが条件
メリットの大きいマル経融資ですが、誰でも借りられる訳ではありません。
利用できるのは「6ヶ月程度、商工会・商工会議所の経営指導を受けた人」です。
商工会、商工会議所又は都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けている小規模事業者(商工業者に限る。)であって、商工会、商工会議所等の長の推薦を受けた方
商工会や商工会議所は、中小企業経営者が直面する経営課題を解決するための支援を行います。
経営計画の策定や財務管理・マーケティングなど、自社の課題に合わせた具体的なアドバイスをもとに実践していきましょう。
6ヶ月程度、経営指導を受けて推薦がもらえればスムーズに借入できます。
特徴5.売上が減少していても審査に通る可能性あり
銀行融資で断られる主な理由は業績不振による赤字や債務超過です。
経営状態が良くないからこそ資金調達したいのに、審査に落ちるのは困ってしまいますよね。
マル経融資は売上が低迷していても審査に通過しやすいため、迅速に必要な資金を調達できます。
特に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた場合、以下のような売上が下がってしまった状況でも利用できます。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方であって、次の1または2のいずれかに該当する方
- 最近1カ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1カ月を含みます。)の平均売上高が前5年のいずれかの年と比較して5%以上減少しているまたはこれと同様の状況にある方(※)
- 債務負担が重くなっている方(※)(注1)
※商工会議所、商工会または都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けており、商工会議所等の長の推薦が必要です。
マル経融資の審査に通過すれば業績悪化を乗り切るために必要な資金を確保できます。
また、返済条件が柔軟なので、経営改善のための取り組みを行う期間を確保でき、長期的な経営安定につながるでしょう。
まとめ
今回はマル経融資の特徴を分かりやすく説明しました。
マル経融資の特徴
- 特徴1.返済期間が7年〜10年と長く、負担が軽い
- 特徴2.最大2,000万円まで無担保・無保証で借りられる
- 特徴3.1.18%と低金利で、返済計画が立てやすい
- 特徴4.商工会・商工会議所の経営指導を受けることが条件
- 特徴5.売上が減少していても審査に通る可能性あり
一時的な業績悪化でも審査に通過する場合があるため、経営に苦しんでいる中小企業にとっては心強い味方となるでしょう。