株式会社を解散させたいなら、「特別清算」という手続きを選択してみませんか。
特別清算は破産手続きよりも柔軟で、費用も期間も大幅カットできる点が魅力です。
しかし、債権者の同意が必要などいくつかのデメリットも存在します。
そこで今回は、特別清算の手続きの流れやメリット・デメリットについて解説します。
法人・会社の特別清算とは
「特別清算」とは裁判所を利用して、債務超過に陥った会社を清算する手続きです。
利用できるのは株式会社に限られ、清算後は会社は解散(消滅)することになります。
破産手続と似ていますが、破産よりも手続きが簡略的で、会社の解散・清算を円滑に行えます。
特別清算には2つの種類があります。
特別清算の種類
協定型:債権者の過半数の同意・議決権総額の3分の2以上の同意により債務の免除を受ける
個別和解型:債権者と個別に和解を締結する
特に個別和解型は債権者集会を開く必要がなく、債権者ごとに返済額・方法を決められるため比較的スムーズです。
中小企業では、協定型よりも個別和解型のほうがよく選ばれます。
手続きの流れ
特別清算の手続きは以下のように進みます。
特別清算の流れ
株主総会にて解散決議・清算人選任の決議
財産目録を作成し、株主総会で承認を受ける
債権者に対する公告や催告
特別清算の申立てを行う
債権者集会(協定型)・和解契約の締結(和解型)
特別清算の終結(会社消滅)
弁護士に依頼する場合は、株主総会を始める前に相談しましょう。
特別清算のメリット
特別清算のメリットは破産手続よりも安く・早く進められる上に、手続き担当者を自社で決めてよい点です。
特別清算のメリット
費用を抑えられる
終了までの期間が短い
会社が清算人を選べる
詳しく見ていきましょう。
費用を抑えられる
特別清算の大きなメリットとして、費用を抑えられるという点があります。
破産手続きに比べて申立手数料や予納金が少なくて済むため、会社の清算に関する費用を大幅にカットできます。
例えば、東京地方裁判所に特別清算の申立てを行う場合、破産手続きと比較して約3分の1程度の費用で済みます。
※弁護士に依頼する場合は弁護士費用が別途必要になります。
終了までの期間が短い
破産手続の場合、裁判所が慎重に判断していくため半年程度かかってしまいます。
一方、特別清算は簡易的な手続きのため破産に比べて終了までの期間が短く、迅速に解決できます。
特に和解型の特別清算は債権者の同意さえあればよいため、早ければ2カ月程度で終了します。
次の人生を歩むためにも、スピーディーに清算できるのは助かります。
会社が清算人を選べる
「清算人」とは、事業を終了させて会社を閉じるための処理を行う人です。
特別清算では、会社が清算人を選任できます。
現在の取締役や懇意にしている弁護士などにも依頼可能なので、会社の事情を十分に理解した人が手続きを進められます。
まったく知らない弁護士が担当するよりも安心ですよね。
特別清算のデメリット
特別清算のデメリットも理解しておきましょう。
特別清算のデメリット
株式会社しか利用できない
債権者の同意が必要
メリット・デメリットどちらも理解した上で特別清算を利用すべきか検討したいですが、経営者では判断が難しいのが現状です。
法人・会社の解散方法に迷った時は弁護士など専門家にアドバイスを求めましょう。
株式会社しか利用できない
特別清算手続きを利用できるのは株式会社に限定されています。
個人は利用できませんし、法人でも合同会社や合資会社・合名会社・社団法人などは利用できません。
株式会社以外が法的整理を行いたい場合は、破産手続を選択することになります。
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債権者の同意が必要
特別清算では、債権者の同意が必要になります。
特別清算(協定型)では債権者の同意が必要
議決権者の過半数の同意
総債権額の3分の2以上の同意
例えば債権者が10社、債権総額が3,000万円のケースでは、「同意した会社が5社以上で、その債権額が合計1,500万円」が求められます。
同意を得られない場合は特別清算を利用できないため、破産手続きに切り替えなければいけません。
特に金融機関に「特別清算にて借入金を清算することに同意してほしい」と連絡しても、簡単には了承してもらえないでしょう。
多額の借入金や滞納がある会社にとっては同意を得るのは難しく、二度手間になるリスクもあるので注意が必要です。
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まとめ
今回は法人・会社の特別清算について解説しました。
特別清算は、会社の解散・清算手続きをスムーズに進められるというメリットがありますが、同意を得られない場合は利用できないというデメリットもあることが分かりました。
特別清算を利用するかどうかは、会社の状況や債権者との関係などによって異なります。