資金を調達する方法にはいくつかありますが、その中に「商工ローン」や「ビジネスローン」があります。
「名前が違うのだから別物かな?」と思いがちですが、現在はほぼ同じ意味を指します。
そこで今回は商工ローンの特徴や、ビジネスローンとの違いについて紹介します。
そもそも商工ローンとは?
そもそも商工ローンとは「ノンバンクが提供する、中小企業を対象としたローン」を意味します。
商工ローンのメリット・デメリットをまとめてみました。
商工ローンの特徴
- メリット1.融資までのスピードが速い
- メリット2.総量規制の対象外になる
- メリット3.銀行融資の審査よりも通りやすい
- デメリット1.金利が高い
- デメリット2.連帯保証人や担保が必要な場合もある
- デメリット3.銀行の貸し渋り・貸し剥がし
詳しくみていきましょう。
メリット1.融資までのスピードが速い
商工ローンは審査から入金までのスピードが早いのが大きなメリット。
最短で即日融資、平均で3営業日程度のため、急に事業資金を用意しなければいけないときに助かります。
銀行融資では2週間から1ヶ月はかかりますから、商工ローンのスピード感は嬉しいですね。
メリット2.総量規制の対象外になる
消費者金融から融資を受ける際、ネックになるのが「総量規制」です。
総量規制とは「年収の3分の1までしか借りられない」というルールで、これが理由で追加融資を断られるケースもあります。
商工ローンは総量規制の対象外となるため、年収の3分の1を超えても借入可能。
新規事業や設備投資のためにお金を借りたくても、総量規制のせいで借入できない場合は商工ローンを検討しましょう。
メリット3.銀行融資の審査よりも通りやすい
商工ローンは銀行融資の審査とは異なる基準で審査を行うため、銀行で断られた法人・個人事業主でも借りられることが多いです。
会社の経済状況が芳しくなくても、在庫や保証人などで相談に乗ってくれるでしょう。
デメリット1.金利が高い
商工ローンの金利は銀行融資よりも高いため、長期的に借入していると返済が苦しくなるリスクがあります。
詳しくは後ほど説明しますが、過去の商工ローンは高金利が問題となりました。
厳しい取り立ても行っていたので、「商工ローンは怖い」「商工ローンはやめとけ」といったイメージが強くなってしまいました。
現在は上限金利を守っているので暴利ではありませんが、銀行融資よりも高めに設定されているのは確かです。
デメリット2.連帯保証人や担保が必要な場合もある
商工ローンは原則として連帯保証人や物的担保はなくても利用できます。
ただし、財務状況や経営者の信用情報によっては連帯保証人や担保を要求されることもあります。
もし商工ローンを利用した上で返済できなくなれば、連帯保証人が返済しなければならないですし、家や土地を競売にかけられてしまいます。
商工ローンは信用力の低い人でも借りやすい一方で、返済できなければ周りの人にも大きな影響を与えることになるのです。
デメリット3.銀行の貸し渋り・貸し剥がし
商工ローンを利用していると、銀行から「貸し渋り」「貸し剥がし」が行われます。
「貸し渋り」とは、以前は融資してくれたケースでも貸してくれなくなることを指します。
「貸し剥がし」とは、すでに融資している場合、約束よりも早く回収しようとする行為です。
銀行としては「商工ローンを利用しているということは資金繰りに困っている」と判断するため、貸し渋り・貸し剥がしをするのです。
結局、商工ローンとビジネスローンは違うの?
商工ローンはもともと、銀行が提供する「ビジネスローン」と区別がされていました。
しかし、1999年頃、商工ローン業者「日栄」と「商工ファンド」の厳しい取り立てや法外な利息が問題となり、イメージが悪化していきます。
「腎臓を売れ」「目ん玉一個売れ」といった録音テープが公開され、元社員が恐喝と貸金業規制法違反容疑で逮捕されたのです。
当時の出資法では上限金利は40%でしたが、この問題を受けて29.2%に引き下げました。
現在は上限金利や取り立てに関するルールによって、しつこい取り立てや法外な金利はほぼ無くなりました。
ただし、過去のニュースから商工ローンに対して悪い印象を抱き続けている人もいることは簡単に予想できます。
最近は商工ローンをビジネスローンという名前に変える会社もあり、ふたつの意味はほぼ同じになりました。
まとめ
今回は商工ローンの特徴や、ビジネスローンとの違いについて紹介しました。
商工ローンの特徴
- メリット1.融資までのスピードが速い
- メリット2.総量規制の対象外になる
- メリット3.銀行融資の審査よりも通りやすい
- デメリット1.金利が高い
- デメリット2.連帯保証人や担保が必要な場合もある
- デメリット3.銀行の貸し渋り・貸し剥がし
商工ローンのメリット・デメリットを見ると、「ビジネスローンと同じでは…?」と思いますよね。
実際、過去には商工ローンとビジネスローンは区別されていましたが、現在はほぼ同じ扱いとなっています。