会社経営が悪化した場合、民事再生を利用することで事業再建ができるかもしれません。
民事再生では経営陣はそのまま引き継げますし、借入金は大幅に減らせる可能性もあります。
この記事では、中小企業経営者を対象に、法人・会社の民事再生についてわかりやすく解説します。
民事再生とは何か、手続きの流れはどうなっているのか、またメリットとデメリットは何か、確認していきましょう。
法人・会社の民事再生とは
「民事再生」は、法人や会社の財務再建を目的とした、民事再生法に基づく裁判手続きです。
債務(借入金)の一部免除を含む支払計画を策定し、債権者の承認を得ることで会社の再建を図ります。
民事再生には以下の3つのパターンがあります。
民事再生のパターン
- 自力再建型:再生債権を弁済して、自力での再建を目指す
- スポンサー型:外部から資金援助を受けて再建を図る
- 清算型:会社自体は精算し、他の会社に営業譲渡などを行う
民事再生は会社更生などの手続きと比べると低コストでスピーディーに進められるので、中小企業向きの方法と言えます。
手続きの流れ
民事再生の大まかな流れは以下の通りです。
民事再生の流れ
- 裁判所に民事再生を申し立てる
- 監督委員を選任する
- 再生計画案を作成する
- 債権者集会にて再生計画案を認可する
- 再生計画を遂行する
この手続きには半年ほどの期間が必要になります。
民事再生自体にも費用や期間がかかるため、余裕があるうちに手続きを始めることが望ましいです。
また、法的な知識がない場合は自分で判断するのは難しいので専門家のサポートが必要です。
中小企業経営者は、会社の経営状態が悪化する前に早めに弁護士へ相談しましょう。
民事再生のメリット
民事再生のメリットを確認していきましょう。
民事再生のメリット
- 事業を継続できる
- 現経営者が退陣しなくてよい
- 借入金などの借金を大幅に減らせる
事業を継続できる
民事再生の大きなメリットは、事業を継続させながら債務の一部免除や弁済猶予が受けられる点です。
経営が芳しくない場合は破産を検討するかもしれませんが、破産は事業どころか法人格が消滅してしまいます。
同じ事業を再開するにしても時間や手間がかかる上、成功するかもわかりません。
民事再生は自社の事業を手放さずに立て直しができるので、新会社設立よりもビジネス成功の確率が高いと言えます。
経営状況が悪化している場合は民事再生を選択肢に入れ、弁護士に相談してみましょう。
現経営者が退陣しなくてよい
民事再生においては、現経営者が退陣する必要がありません。
他の手続きでは経営陣を変えなければいけないケースが多いので、会社経営を継続しながら債務の一部免除や弁済猶予を受けられるのは助かるでしょう。
また、経営者が留まることで、事業のノウハウやネットワークなどの貴重な資産を活用しながら再建を図れます。
借入金などの借金を大幅に減らせる
民事再生を適用すると、借入金やその他の借金を大幅に減らせたり、返済期間を伸ばしたりできます。
自社としては負債が軽減され、返済負担が軽くなり、嬉しい限りですよね。
民事再生には債権者の認可が必要ですが、「全額回収できなくなる可能性が高いのに、相手はなぜ了承してくれるのか」と思うかもしれません。
債権者としては、(返済完了まで時間がかかるものの)破産よりも回収できる金額が多くなりやすいので、再生計画案を可決するのです。
しかし、少額の債権や担保権・保証人などの状況によっては回収されるため、弁護士など専門家に確認することをおすすめします。
民事再生のデメリット
民事再生のデメリットはこちらです。
民事再生のデメリット
- 社会的信用を失うリスク
- 担保は回収される可能性あり
デメリットも理解した上で、民事再生を選ぶべきか検討してみましょう。
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社会的信用を失うリスク
民事再生は法的な倒産処理を開始することになり、ニュースや噂で広まることがあります。
そのため、社会的な信頼やブランドイメージの低下を招くことがあります。
また、経営陣を維持できる点はメリットのひとつですが、経営陣の信頼が回復できなければ民事再生手続を行っても経営状況が好転しない可能性があります。
担保は回収される可能性あり
民事再生を行っても、担保(借金の保証)が取り上げられる可能性があります。
実は、担保権は再生手続きを進めても行使可能で、阻止するためには担保権者と弁済協定を締結しなければいけません。
担保は会社の大切な資産であるため、取り上げられると会社経営に大きな打撃を受けるでしょう。
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まとめ
今回は法人・会社の民事再生についてわかりやすく解説しました。
民事再生は、負債超過に陥った会社が、裁判所の監督下で債権者との交渉を行い、負債を減少させたり、支払い条件を変更したりして事業の再建を目指す手続きです。
借入金も大幅に減らせる可能性がありますが、デメリットとして社会的信用を失うでしょうし、担保も回収されてしまうかもしれません。